2023.02.14

電子契約で印紙代がいらない理由を国税庁の見解をもとに解説!

電子契約で印紙がいらない理由

電子契約には印紙税がかかりません。紙の契約書を利用している場合、電子契約に変更するとこれまでかかっていた税額の分、大きくコストカットできる可能性があります。この記事ではなぜ電子契約に印紙税がかからないのか、国税庁の見解をもとに解説します。電子契約の導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

印紙税とは

考える男性

印紙税とは契約書や領収証などの課税文書を作成する際に納めなければならない税金です。
契約書を作成する際、それが課税文書であれば定まった額の収入印紙を購入して書面に貼り付けるなどの方法で納付しなければなりません。
印紙税の納付が必要なのに納付しなかった場合、ペナルティとして本来の印紙税額に加えて2倍の過怠税を納付する義務を課されます。つまり合計で3倍の印紙税を払わねばなりません。
契約書を作成する際には、課税文書に該当するのか否か、該当するのであればいくらの印紙税がかかるのか、確認が欠かせません。

電子契約で印紙税がかからない理由

国税庁と財務省の入り口

紙の契約書を作成する際には印紙税がかかりますが、電子契約の場合には印紙税がかかりません。以下でその理由をお伝えします。

印紙税法における「文書」に該当するかが重要

印紙税がかかるかどうかについては、印紙税法の「課税文書」に該当するかどうかで決まります。課税文書に該当すれば印紙税がかかりますが、該当しなければかかりません。

印紙税法第二条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。

第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。

電子データは「課税文書」の作成に該当しない

電子契約を締結する際に作成する電子データは、印紙税法上の「課税文書」の作成に該当しません。以下で国税庁の見解を元に電子データに印紙代がかからない理由をみていきましょう。

電子契約の印紙について国税庁の見解

国税庁は、納税者からの質問などに回答する際、明確に「電子契約には印紙税がかからない」という見解を示しています。以下でその具体的な内容を示します。

請負契約における回答

「請負契約の注文請書を発行するとき、PDF等の電子メールによって送信する場合には印紙税の課税文書にならないのか?」という質問に対し、国税庁が回答した事例です。
福岡国税局は、「注文請書の現物ではなく電子データの送信の場合には印紙税の課税原因が発生しないのではないか」とする質問者の見解を支持し、その見解のとおりで差し支えないと回答しています。
このことから、請書の場合には電子データは印紙税の課税文書にならないことが明らかになっているといえます。

印紙税法に規定する課税文書の「作成」とは、印紙税法基本通達第44条により「単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう」ものとされ、課税文書の「作成の時」とは、相手方に交付する目的で作成される課税文書については、当該交付の時であるとされている。
上記規定に鑑みれば、本注文請書は、申込みに対する応諾文書であり、契約の成立を証するために作成されるものである。しかしながら、注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

出典:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁
出典:(別紙)|国税庁 別紙1-3

コミットメントライン契約における回答

コミットメントライン契約を締結する際に、納税者が印紙税の取り扱いについて国税庁へ質問をした事例もあります。
国税庁は、以下のように回答して「FAXや電子メールにより提出する場合、文書が交付されないので課税原因が発生しない」と明言しています。

請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。
また、ファクシミリや電子メールを受信した貸付人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められることから、課税文書としては取り扱われません。

出典:コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い|国税庁

電子領収証も印紙は不要

以上のように、電子データの場合にはそもそも「課税文書」を作成しないので印紙税は不要となるのです。
請書契約の事例で国税庁が回答しているように、電子契約のデータだけではなく電子領収証や請書であっても印紙税はかかりません。

電子契約をプリントアウトしても印紙は不要

印刷中の複合機

では電子契約をプリントアウトとして「紙」になった場合、印紙税がかかるのでしょうか?
国税庁は、こちらに関しても否定しています。

ファクシミリや電子メールを受信した貸付人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められる

つまりプリントアウトしたものはコピー元のものと同じものなので、もとの電子データに課税されない以上、プリントアウトされたものにも課税されないということです。

出典:コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い

ただしいったんは電子契約を締結したとしても、後日に紙の契約書を作り直したり紙の領収証を発行したりする場合には、印紙税がかかってきます。

電子契約できる文書の種類や例

賃貸借契約書の書面

電子契約には印紙税がかからないので、導入すると大きくコストカットができます。
従前は電子契約を導入できなかった分野についても、今は法改正によって、ほとんどの文書を電子化できるようになっています。
以下で電子契約を締結できる文書の種類や例をみてみましょう。

電子契約書を導入できるようになった契約書の例

  • 不動産関係の契約書
  • 特定商取引法上の契約書や書面
  • 建築関係の契約書

2022年、不動産取引の際の電子契約がほぼ全面的に解禁されました。不動産取引に電子契約を導入すると、印紙税などのコストカットができますし、オンラインで契約を締結できるので契約当事者双方にかかる負担を減らせます。郵送費用もかかりません。さまざまなメリットがあるので、今後はどんどん広まっていくと予想されます。
ただし「事業用定期借地権」の場合のみ、紙の契約書が必要です。

電子契約書を導入できない契約書

  • 事業用定期借地権の設定契約書
  • 任意後見契約書

上記2点については公正証書化が必要なので紙の契約書を作成しなければなりません。

紙の契約書を電子化する方法や注意点

印刷機でスキャンしている様子

紙の契約書を電子データ化すると、管理が簡単になるなどメリットがあります。以下でその方法や注意点をお伝えします。

電子帳簿保存法に従った対応が必要

紙の契約書を電子データ化する場合、「電子帳簿保存法」に従って保存しなければなりません。
具体的には「スキャナ保存」が適用され、タイムスタンプを付与しなければならない、取引年月日や取引金額などによって検索可能な状態にしなければならないなどの条件を満たす必要があります。

電子化すると過誤納があった場合に還付を受けられなくなる

本来印紙税の過誤納があれば、印紙の還付請求を受けられます。ただ紙の契約書を電子データ化してスキャナ保存してしまった場合、元となった紙の文書を破棄してしまったら還付は受けられません。
スキャナ文書そのものによる還付請求はできないので注意が必要です。

出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 問3参照

電子契約の5つのメリット

メリット

電子契約には以下のような5つのメリットがあります。

1.印紙税がかからない

既述のように、電子契約には印紙税がかかりません。契約書の数が多く印紙税がかさんでいた企業の場合、電子契約を導入すると大きくコストカットできるメリットがあるでしょう。

2.事務経費や労力の削減

電子契約を作成する際には、紙をプリントアウトしたり郵送したりしなくて済みますし、管理保存も簡単です。契約書作成や保存管理にかかる事務経費や人員の労力も削減できるメリットがあるといえるでしょう。

3.スピーディな契約締結

電子契約の場合には、数日かけて郵送などでやり取りする必要がありません。メールで相手方とやり取りすれば、すぐに契約を締結できます。紙の契約と比較して契約締結までのリードタイムを大幅に短縮できるのも、電子契約ならではのメリットといえるでしょう。

4.保管や管理の効率化

電子契約は紙の契約書のように保管スペースを取りません。データをいつでも検索できるようにして管理しておけば、必要なときにすぐに必要な契約データを取り出せます。保管や管理についても効率化されるメリットがあるでしょう。

5.更新漏れを防げる

契約データを保存する際、作成日付や次回更新時期についてもきちんと入力して管理しておけば、契約書の更新漏れも防げます。

以上のように電子契約にはさまざまなメリットがあります。今はまだ紙の契約書を使っている場合、導入する意義は大きいといえるでしょう。

電子契約サービスの選び方

選び方のことばと緑の色鉛筆

電子契約にはさまざまなサービスがあり、どれを選んで良いか迷ってしまう方が少なくありません。電子契約サービスはどのようにして選べば良いのでしょうか?以下で選び方の視点をお伝えします。

  • コスト面…費用対効果の確認は重要です。導入時にコンサル料として費用が発生するケースもありますので、月々の支払額だけでなく、発生する費用全体を比較検討する必要があります。
  • 安全面…情報漏洩など、ひとたび情報セキュリティの面で問題が発生してしまうと、取引先との関係悪化に繋がりかねません。電子契約サービスを選ぶ際は、サービス提供事業者のセキュリティ水準を見極めることも非常に重要です。
  • 契約締結権限を確認できる…電子契約のデータを作成しても、署名者に契約締結権限がなければ無効になってしまいます。契約締結権限があるかどうかを確認できる機能が内包されていると、安心して利用しやすいでしょう。
  • 税法上の要件を満たしている…電子帳簿保存法の要件を満たしているサービスを選択しましょう。

電子契約の選び方について詳しい内容はこちらの記事で紹介しています。
自社に最適な電子契約システムを選ぶ10の比較ポイントをご紹介!

当事者型に近い立会人型電子契約サービス「AgreeLedger」の特徴

電子契約サービスを導入するなら、AgreeLedgerも有効な選択肢に入ってきます。
AgreeLedgerは立会人型電子契約サービスであるものの、一般的な立会人型電子契約サービスより紛争になった際の証明力が強固です。なぜなら契約締結権限の確認機能が内包されているからです。
AgreeLedgerを利用する際には、利用企業によって登録された人が電子署名を施し、契約を締結する必要があります。本人確認や契約締結権限確認プロセスが実行されるので、一般的な立会人型サービスよりも安全に利用できるのです。
当事者型電子契約では本人性は担保できても契約締結権限の確認プロセスは内包していないので、その点では当事者型より立会人型であるAgreeLedgerの方に信頼性が高いともいえます。トラブルが起こった際に本人性や契約締結権限を確認しやすく、証明力が高くなるメリットがあるといえるでしょう。
AgreeLedgerの場合、当事者型とは異なり、電子証明書を入手することは想定していないので、当事者型ほどの手間やコストもかかりません。

AgreeLedgerについて詳しく知りたい方はこちらからお問い合わせください。

まとめ

電子契約には印紙税がかからないので、導入すると大きくコストカットできる事例が多数あります。
日頃から多くの課税文書を作成して高額な印紙税を払っている企業にとっては、大きなメリットがあるでしょう。印紙税がかからないだけではなく郵送などにかかるコストもカットできます。

ただ電子契約サービスにはいろいろなものがあるので、自社のニーズに合ったものを選ぶ必要があります。
AgreeLedgerの電子契約サービスは、立会人型でありながら、本人確認機能や契約締結権限の確認プロセスの内包など、電子契約の信頼性や証拠能力を高める機能が充実しています。
これから電子契約を導入される企業であれば、是非、AgreeLedgerの電子契約サービスをご検討ください。

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